黒留袖とは

ミセスが着る第一礼装です。裾だけに模様を描き、染め抜いた家紋を五ヶ所に付けた黒地のきものです。金銀を使った格調高い文様の袋帯で、きものとの格を合わせます。


江戸褄模様で、黒地のものを黒留袖、色地のものを色留袖といいます。黒留袖は、染め抜きの五つ紋で、最近ではほとんど比翼仕立てになっています。

  

 

色留袖とは

黒留袖同様、裾だけに模様が有る礼装のきもので、地が色物です。正式には五つ紋、略式で三つ紋か一つ紋を付けます。 


 

 

紋の格と種類

紋章(紋)とは、個人や家、団体を識別するための標のことです。世界中で紋章を持つのは、欧米の上流階級と日本だけといわれ、日本ではすべての家に家紋があります。


家紋の歴史は平安時代、公家や衣服や調度品、牛車に用いたのが始まりです。鎌倉時代になると武士も紋を持つようになり、庶民の間に広まったのは江戸時代のことでした。人々は礼装用に用いるほか、家紋をアレンジしたりオリジナル紋を作るなどして、紋のお洒落を楽しみました。


紋の格は、繍いよりも染め、色付よりも白、紋の数が多いほど格上です。五つ紋は両胸と両外袖、背中心に、三つ紋は両外袖と背中心、一つ紋は背中心だけに紋を付けます。



正式な紋 / 留袖・色無地・黒喪服など

家紋には、正式と略式があります。もっとも正式な紋は、白く染め抜いた染め抜き紋です。中でも紋の形をすべて染め抜いた染め抜き日向紋は、最高格になります。


黒留袖や黒喪服などの正装には必ずこの紋を五つ付けます。輪郭だけを白く染め抜いた染め抜き陰紋もありますが、日向紋の方が正式です。紋の数はフォーマル度の高い順に五つ、三つ、一つがあります。


染め抜き日向紋

紋の中をすべて白く染め抜いたのが日向紋です。おもに、黒留袖や黒喪服、色留袖と色無地を正装として着る場合に、五つ紋を付けます。


染め抜き陰紋

紋の輪郭だけを白く染め抜いた陰紋は、準礼装として着る場合の色留袖や江戸小紋、色無地などに付けます。紋の数が同じでも、日向紋の方が陰紋よりも改まり度は上になります。



略式の紋 / 色留袖・色無地・江戸小紋など

染め抜き紋が正式な紋であるのに対し、繍い紋と呼ばれる刺繍紋は略式になります。染め抜き紋と違い、きものの地色に合わせて糸の色を選ぶことができます。


繍い紋にもすべてを繍う日向紋と、輪郭だけを繍う陰紋がありますが、染め抜き紋のように格の上下はありません。色無地や江戸小紋に、金糸銀糸、きものと共色の濃淡系で繍った一つ紋または三つ紋の刺繍紋を付ければ、略礼装として軽いパーティなどにも着て行かれます。ただし、略式の紋になるため、留袖などの正装のきものに付けることはありません。


地味な色で、光沢のない色無地、略式の色も服として着る場合は、銀糸の陰紋を一つ付けます。


丸に繍いの日向紋

紋の中をすべて白色で繍い周囲を丸で囲んだ繍いの日向紋です。繍い紋に格の上下はありませんが、改まった雰囲気になります。


輪郭を金糸で繍った日向紋

輪郭に金糸を使い、白糸で中を繍った繍いの日向紋です。お洒落の要素が強い、略礼装のきものに付けることができます。


色糸の繍いの陰紋

きものと共色の濃淡系を使った繍いの陰紋です。江戸小紋には色糸の繍い紋を付けることが多いようです。



魔除けの背守り

きものの背縫いの縫い目は、背後から近づく魔物に気付く目として身を守ると信じられてきた時代、背縫いのない子供のきものに背守りや家紋を付けて、魔除けにする習慣がありました。

 


洒落紋 / 色留袖・色無地・江戸小紋・紬

格式張った家紋のほかに、好みのデザインで遊び心を取り入れた洒落紋(替え紋)があります。洒落紋にも染めと繍いがありますが格の上下はなく、すべてお洒落用です。色無地や江戸小紋、紬などをお洒落着として装う場合に、一つ紋で付けます。また、洒落紋を付けた色留袖は、式典など改まった場所には行けません。


洒落紋には、優美な加賀紋や家紋の一部をのぞかせた覗き紋、和歌や名所にちなんだ伊達紋などがあり、洒落紋の原型とされています。